毎月末に分配状況を公開しているのですが、そろそろ2024年の収入見込みが出てきて「これは夫(会社員)の確定申告も必要そうだな…」と思ったので条件を整理しておきます。
私と同じように、配偶者の扶養に入っている主婦の参考になればと思います。
※注意※
私は税理士などの資格はなく、お金の素人です。いただいた質問などには可能な限り対応していますが、誤っていたり、最新の税制についていけていない可能性もあります。投資や納税については税務署や税理士に相談の上、自己責任で行ってください。
扶養の概念について(おさらい)
多くの専業主婦の方は、いわゆる「扶養」に入っていると思います。
この「扶養」には、①税制上の扶養、②社会保険上の扶養(さらに健康保険上の扶養と国民年金上の扶養にわかれます)の2種類があります。
今回話題にしたいのは、①税制上の扶養についてです。
社会保険の扶養についても知りたいという方は、「税金と確定申告」タブに過去記事や主婦の確定申告についての知識をまとめていますので、そちらをご覧ください。
配偶者控除と配偶者特別控除の仕組み
納税者(私の場合は会社員の夫のことです)に所得税法上の控除対象配偶者(今回は妻である私のことです)がいる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができ、これを配偶者控除と言います。
簡単にいうと、「妻を扶養に入れているなら、その分お金かかるだろうから所得を低く見積もってあげるよ」という制度です。所得を低く見積もってくれると、その分払う税金は少なくて済みますので、納税者が助かるという仕組みです。
今回は便宜上、納税者=会社員夫、控除対象配偶者=専業主婦妻とさせていただきます。
配偶者控除について
配偶者控除の額は、会社員夫の合計所得金額と専業主婦妻の年齢により以下の表のとおりになります。
最大で会社員夫の収入を38万円分低く見積もってくれるこの制度ですが、専業主婦妻の年間合計所得金額が48万円以下であることが適用条件です。
ここで私の2024年分配金収入を見てみましょう。
1~9月時点で合計689,012円(税引前)、1~12月の予想金額は合計954,274円(税引前)となります。
※実際には夫と私の分配金が混ざってしまっているので、私個人の金額はもう少し下がるのですが、解説にちょうど良い数字でしたので全額私の分配金という仮定で話を進めさせてください。
そう…分配金収入が48万円を超えますので、私の夫は配偶者控除を受けることができません。
「妻の分配金が48万円を1円でも超えたら、夫の配偶者控除は38万円からいきなり0円になるってこと…?」と思いますが、そんな方には配偶者特別控除という仕組みが用意されています。
配偶者特別控除について
専業主婦妻に48万円を超える所得があるために、夫が配偶者控除の適用が受けられないときでも、妻の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があり、これを配偶者特別控除といいます。
配偶者特別控除の額は、会社員夫の合計所得金額と専業主婦妻の合計所得金額に応じて以下の表のとおりになります。
最大で会社員夫の収入を38万円分低く見積もってくれる制度で、専業主婦妻の年間合計所得金額が133万円以下であることが適用条件です。
つまり…分配金収入が48万円超~133万円以下であれば、夫は配偶者特別控除を受けることができるため、「分配金収入が48万円を超えても、段階的に控除額が減らされるだけで恐れることはない!」と覚えておきましょう。
私の2024年分配金予想は合計954,274円(税引前)ですので、夫が受けることができる配偶者特別控除は36万円(上の表の「95万円超100万円以下」より)となります。
配偶者特別控除を受けるためにやるべきこと
前述のとおり、満額38万円の配偶者控除または配偶者特別控除を受けることができるのは、専業主婦妻の合計所得金額が95万円以下の場合です。
私のように95万円を超えるかもしれない人はどうすればいいのでしょうか?
結論としては、会社員夫の確定申告が必要です。
なぜ夫の確定申告が必要なのか
会社員の場合、一般に年末調整で保険料控除などを済ませていただけるので、他に控除がない場合には確定申告をする必要がありません。
しかし「妻の収入少ないし大丈夫でしょ!」と配偶者控除(または配偶者特別控除)を満額受けるつもりで会社に正しく妻の収入を報告していないと、38万円の満額控除として処理されてしまいます。
こうなると、【会社が申告した情報(=妻の収入95万円以下なので夫に38万円の控除を付けました)】と【妻の確定申告結果(=95万円超の収入がありました)】に齟齬が生じるため、税務署から夫の勤め先に問い合わせ→配偶者特別控除の修正…という大迷惑をかけることとなります。
夫の確定申告のやり方
まず考えることとしては、会社の年末調整修正が間に合うのであれば、そちらで修正していただくという方法があります。ただし、分配金の正確な金額がわかるのは不動産クラファン各社からの年間取引報告書が出てからですので、スケジュールがタイトで難しいかもしれません。
そうなれば、残るは夫自身が確定申告を行い、修正するしかありません。
年末調整は済んでいますので、ほとんどの作業は源泉徴収票から数値を転記するだけ。この転記の際に「配偶者特別控除」の金額を修正することができます。以下国税庁の確定申告書等作成コーナーの入力例より関係個所を抜いてきました。
配偶者(特別)控除の額を修正すると、追加で納めなければならない金額が表示されます。
私のように38万円の控除を受けるつもりが、36万円の控除になってしまった場合はどの程度になるのか一応計算しておきます。課税所得400万円・所得税率20%としてざっくり計算すると、
【修正前】(400万円-38万円)×20%=72.4万円
【修正後】(400万円-36万円)×20%=72.8万円
差額2万円に対して20%がかかりますので、4,000円ほど未納となってしまいますので、この金額を追納することとなります。恐れるほどの金額ではありませんので、必ず申告しましょう!
まとめ
配偶者(特別)控除の修正申告については、私も未経験なので不安はあります。
しかしながら、ソシレン・不動産クラファンにて収入がある以上、確定申告を避けて通ることはできません。
また、寄付控除(ふるさと納税等)や医療費控除などを活用してしっかり節税できれば、還付が行われます。たとえ配偶者特別控除の修正申告による追納があったとしても、結果相殺されて追納作業は不要になる可能性が高いです。
e-Taxの記入例は思った以上に丁寧に書かれています!
案ずるより産むが易しですので、時間に余裕をもって取り組みましょう!