前回に引き続き、不動産クラウドファンディングTSON の中間決算書を財務分析をしていきます。今回は中間損益計算書を読み解いていきます。
▼貸借対照表編はこちら
中間損益計算書について
損益計算書の見方は?
損益計算書の主な項目と意味について以下にまとめておきます。
- 売上高:その会社のメインの活動によって稼いだ収益全体。
- 営業利益:売上高から原価と販売・一般管理費を差し引いたもの。会社のメインの活動で出した利益のこと。
- 経常利益:営業利益にサブの活動で稼いだ収益(=営業外収益)を加え、サブの活動の経費(=営業外費用)を差し引いたもの。即ちメインとサブの活動で出た利益の合計。
- 純利益:経常利益から突発的な損益を加減し、さらに法人税等を差し引いた最終利益。
TSON の分析結果は下記のようになりました。
- 売上高・営業利益・経常利益は前期に比べて改善している。
- 売上高:12.96億円→27.94億円 前年比115.6%UP
- 営業利益:3,010万円→9,954万円 前年比230.6%UP
- 経常利益:1,784万円→5,502万円 前年比208.3%UP
- 経常利益が営業利益よりも低い = 営業外費用が嵩んでいる
- 中間純利益は前期に比べて改善している(1,166万円→3,647万円 前年比212.7%UP)
以下でもう少し詳しく見ていきます。
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売上高・営業利益・経常利益・純利益の改善
前期は経常利益が1,784万円と乏しく心配していたのですが、5,502万円と大幅に改善しています。
TSON の主な事業は「LF事業(分譲戸建事業・不動産ファンド事業)」と「テック事業(不動産ビッグデータやAIを利用した不動産マーケティングシステム開発)」に分かれているようですね。
LF事業は売上27.8億円(前年同期比116.0%増)、利益2.1億円(同54.9%増)である一方、テック事業は売上1,400万円(前年同期比52.2%増)、損失930万円(前年同期損失810万円)となっています。テック事業における開発人件費がかさんだことが損失として計上されていますが、LF事業にも必要となる不動産マーケティングシステム開発という意味では、将来への投資的な側面もあるのかなと思います。
メインエリアは愛知県・岐阜県・三重県ですが、下期から首都圏でも分譲戸建事業を展開していく予定です。
株式会社TSON 2023 年6月期 中間決算短信
これまで東海3県を中心に事業を展開してきたTSONですが、今年度から首都圏においても事業展開を行っていくそうです。ファンド組成等における意思決定を加速するため、LF事業を「LF事業部(東海3県の不動産ファンド事業と分譲戸建事業を展開)」と「首都圏事業部(首都圏で不動産ファンド事業と分譲戸建事業を展開)」に分ける組織再編を行ったそうなので、新たな案件組成を楽しみにしたいと思います。
経常利益が営業利益よりも低い点
経常利益<営業利益となっており、営業外費用(メインではなくサブの営業活動による費用)が嵩んでいることが伺えます。
営業外費用5,000万円のうち93%を占めるのが、不動産特定共同事業分配金4,600万円です。これは私たちファンド出資者に支払う利息の事ですので、運用終了~元本償還まで日割りで利回りがつくことが、営業外費用が嵩む要因となっている可能性がありますね。
私がTSON に頻繁に投資している理由として、やはり元本償還日まで利回りがつくことは大きいです。その他の理由としては、東海地方の物件が中心で地理的分散ができることや、そもそも非上場企業が多くを占める不動産クラウドファンディング業界で、東証PROに上場し、決算書が公開されていること自体も一つの安心材料です。
▼TSON の特徴を知りたい方はこちらの記事も読んでみてください
今後の予定
キャッシュフロー計算書についてはまだまだ勉強中ですので、参考図書を一通り読み終わったら、次回以降に分析をアップしていきます。
▼読みかけの参考図書
『決算書はここだけ読め! キャッシュ・フロー計算書編』 著:前川修満 講談社現代新書
決算書はここだけ読め! キャッシュ・フロー計算書編 (講談社現代新書)
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