今年も残すところあと2ヵ月。会社員の方はそろそろ年末調整の時期ではないでしょうか?
ということで主婦の副業と税控除の話を少しまとめておきます。
はじめに
私は現在、外に働きに出ておらず、会社員の夫の扶養に入っています。しかし、資産運用や電子書籍販売などで細々と収入を得ており、毎年収入をしっかり確認しながら確定申告を行っています。以下に簡単な前提条件を書いておきます。
- 家族構成:夫(会社員)、妻、子 の3人家族
- 妻の就労状況:給与所得なし、副業収入あり
- 妻の国民年金区分:第3号被保険者
- 副業収入の種類:株式譲渡所得(株取引による収入)、雑所得(ソシレン投資による収入、コンテンツ販売による収入、YouTube等による広告収入)
- その他の条件:iDeCo加入済み(月額23,000円)
【注意】私のように扶養内で副業をしたい主婦の方の役に立つ記事を心がけていますが、税制頻繁に制度変更されたり、その解釈にも余地がありますので参考程度にしてください。不明な点は税務署や税理士に当い合わせるなど、各自の責任でお願いします。
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私の副収入の作り方については、以前の記事を読んでいただけるとわかりやすいと思います。
税制における控除とは
税金における「控除」とは、「何もなければ収入全額に対して課税しますが、条件によっては収入額を低く見積もって課税しますよ」という意味です。例えば収入額1,000万円、税率30%、控除100万円の場合を考えてみると税金は以下のようになります。
- 税控除なしの場合:(1,000万円 ー 0円) × 30% = 300万円
- 税控除ありの場合:(1,000万円 ー 100万円) × 30% = 270万円
税控除ありの場合、なしに比べて税金が30万円安くなります。よくある勘違いとして、控除額=還付額と思っている方も見えますが、そんなことはありません。あくまで、税控除を使うと納めた税金の一部が返ってくる可能性があるだけですので、税金を納めていない(=完全に無収入)場合には控除があっても使えません。
使える控除の種類
ここでは、夫に扶養されている主婦本人が使える税控除について記載します。これらの控除を利用する場合には、主婦本人の確定申告が必要です。
- 基礎控除:すべての人が対象。合計所得金額が2,400万円以下である場合、48万円が控除される
- 給与所得控除:パートなどにより給与収入がある場合、55万円が控除される(所謂103万円の壁は、前述の基礎控除48万+給与所得控除55万円=103万円のことを指す)
- 小規模企業共済等掛金控除:iDeCoの掛金がある場合に、掛金が満額控除される。会社員に扶養される妻の場合、控除額は最大276,000円(月額23,000円×12ヵ月)
混同しがちですが、これとは別に夫が使える税控除があります。
- 配偶者控除:配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に、給与所得者から最大38万円が控除される
- 配偶者特別控除:配偶者の合計所得金額が48~133万円の場合に、給与所得者から1~38万円が控除される
こちらは給与所得者である夫の収入の一部を控除する仕組みですので、夫の会社での年末調整で対応されます。夫の収入×妻の収入の組み合わせによって控除額が変動しますので、詳細は以下の表をご覧ください(出典:国税庁)。
シミュレーション
私のような低額収入がある場合に、どの控除がいくら使えるのかをシミュレーションしてみます。前提条件として、夫の合計所得金額が900万円以下の場合を想定します。それでは、妻の収入額によって場合分けしていきます。
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①48万円以下の場合
使える控除は妻本人の基礎控除(48万円)、夫の配偶者控除(38万円)がそれぞれ満額控除されます。妻の収入には課税されません。
②95万円(パート収入55万円+その他収入40万円)の場合
使える控除は妻本人の基礎控除(48万円)、妻本人の給与所得控除(55万円)、夫の配偶者特別控除(38万円)の3つ。妻の収入には課税されませんし、夫は配偶者控除は使えないものの、配偶者特別控除が使えるため、①の場合と変わりなく満額控除されます。
③110万円(パート収入55万+その他収入55万円)の場合
使える控除は妻本人の基礎控除(48万円)、妻本人の給与所得控除(55万円)、夫の配偶者特別控除(26万円)の3つ。妻の収入のうち103万円(=48万円+55万円)を超える7万円に対して課税されます。また、夫の配偶者特別控除は②の場合に比べて減少します。
おまけ 私の場合
私の収入内訳はパート収入0円、株式譲渡所得30万円、雑所得70万円(ソシレン分配金68万円、その他所得10万円、その他経費8万円)で合計100万円程度と想定しています。
この場合に使える控除は妻本人の基礎控除(48万円)、夫の配偶者特別控除(36万円)となり、パート収入がある場合に比べて給与所得控除が使えない、収入を95万円以下に抑えた場合に比べて夫の配偶者特別控除が減額されてしまうというデメリットがあります。
これらのデメリットを緩和するため、以下の手立てをとっています。
- 源泉徴収口座を利用することで、株式譲渡所得は確定申告しない。
- iDeCoを満額かけて小規模企業共済等掛金控除を利用する。
- コンテンツ販売等で必要となった経費は帳簿をつけて管理し、経費として申告する。
株式譲渡所得は、源泉徴収口座で取引すれば譲渡益に対して一律に課税されるので確定申告が不要となります。株取引による収入は安定せず、「思ったよりも利益が出てしまって、夫の配偶者特別控除が減額されてしまう!」ということが起こりえますので、株式譲渡益以外の収入と合わせて95万円を下回る場合には確定申告し、上回る場合には株式譲渡益については確定申告しません。
また、以前は「iDeCoは60歳まで引き出せないし、今から始めるのは早すぎるような…」と思っていましたが、満額積み立てることで年27.6万を控除できるので活用することにしました。
これにより基礎控除(48万円)+小規模企業共済等掛金控除(27.6万円)の計75.6万円までは非課税となるため、ソシレン投資によって得られた分配金がほぼ非課税となりました。
さらに、コンテンツ販売にかかる経費をしっかりと申告することで節税が可能です。こちらは管理する手間はありますが、最近は無料で使える電子帳簿管理システムが多数ありますのでそれほど煩雑ではありません。
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