ブログ初心者のため、当ブログではコメント欄を設けていないのですが(誹謗中傷やスパム広告を書かれるのが嫌なので…豆腐メンタルです)、お問い合わせフォームから「主婦のソシレン投資について書いてる人が少ないから助かる!」「確定申告の記事がわかり易かった!」「扶養内に収めたいけど税制が複雑すぎてどこまで投資していいかわからない…あなたのやり方を参考にさせて欲しい!」といった応援コメントや質問をいただくことがあります。とてもありがたく、励みになります。
私自身も経験があるのですが、主婦向けの確定申告や税控除の情報を扱っている記事はほとんど見つかりません。検索してもヒットするのは「パート主婦が扶養内で働くには?」という、給与所得についての記事ばかり…。投資(まして超マイナーであるソシレン・クラファン投資)で収入を得た場合の記事は見つからないか、「20万円以下ならOK」みたいな雑な解説しかありません。
ということで、ソシレン・クラファン投資を推すからには、税金についての記事も併せて書いていく決意です。今回も、「もし扶養を外れるほど分配金を貰ってしまうとどうなるのか?」という疑問についてまとめてみました。忙しい方は結論だけでも見ていってください。
※注意※
質問には可能な限り対応していますが、私は税理士などの資格はなく、お金の素人です。誤っていることや、最新の税制についていけていない可能性もあります。投資や納税については税務署や税理士に相談の上、自己責任で行ってください。
万が一扶養を外れるとどうなる?
私は現在、株取引、ソシレン・クラファン分配金、電子書籍販売、広告収入(Googleアドセンスなど)の4つの少額収入があります。年によって変動するのですが、最も大きな収入であるソシレン・クラファン分配金については全面公開しています。
- 2021年:347,814円(税引前)
- 2022年:453,113円(税引前)
- 2023年:700,278円(税引前)
- 2024年:880,000円(税引前、予定額)
2024年については、遅延や延滞・早期償還・分配金上振れなども考えられますので、あくまで予定額です。このペースで行くと、その他の副業も含めて近いうちに130万円を超えてしまうのでは…?と心配になりましたので、その場合にどんなメリット・デメリットがあるのかを考えていきます。
デメリット:社会保険料を支払うことになる
収入が130万円を以上になると、健康保険と国民年金の扶養から外れることになるため、自身で国民健康保険料及び国民年金保険料を納める必要があります。それぞれ以下の金額です(算出条件:令和6年度,年収130万円,白色申告で経費なし(=青色申告特別控除なし)での概算額)。
- 国民健康保険料:39歳以下で143,400円/年、40歳以上で179,610円/年
- 国民年金保険料:198,240円/年
年間341,640円を支払うことになります。40歳以上であれば、介護保険料36,210円も加わりますので年間377,850円となります。130万円未満に抑えれば支払わずに済む金額だと思うとかなり大きいですね…。こう見ると扶養を外れても130万円~165万円くらいまでは実質手取りが下がることになりますので、165万円以上稼ぐ覚悟が必要そうです。ちなみに、少額のパート収入などがあれば、給与所得控除や職場の社会保険を活用できますので、個人事業主+少額パートの組み合わせはかなり魅力的ですね。
また、このデメリットを緩和する策として社会保険料を世帯主に支払ってもらう裏技があります。社会保険料は支払った全額を控除することができ、夫婦の内収入の多い方が支払えば節税効果が高くなります。
妻がソシレン投資等で133万円を超えて分配を得た場合、夫は配偶者特別控除を使うことができなくなりますが、社会保険料控除は実際に保険料を支払った人が受けられる控除ですので、夫に支払ってもらえば、配偶者特別控除の最大額(38万円)とほぼ同額の341,640円(または377,850円)の控除を受けられます。
メリット:年金を増やすことができる
仮に夫の扶養に入り20歳~60歳までの40年間を国民年金第3号被保険者として過ごした場合、65歳になってから受け取れる老齢基礎年金は79万5,000円/年(令和5年4月時点の数字)程度です。月額で言うと66,250円ですので、一人では暮らしていけない金額ですね…。ところが、扶養を外れて第1号被保険者となった場合、以下の2つの制度を使って将来の年金額を増やすことができます。
付加年金に加入する
付加年金は、国民年金第1号被保険者が加入できる制度です。国民年金保険料に月額400円の上乗せで、受給時には年間で200円×納付月数を老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができる制度です。
30歳~60歳までの360ヵ月間納めた場合、生涯で 400円×360ヵ月=14.4万円 を納付し、受け取る際には年間で200円×360ヵ月=7.2万円 が上乗せされるので、2年間受給すれば元がとれます。
掛金は全額社会保険料控除に使えますので、非常に優良な制度と言えます。私が扶養を外れた際には、必ず加入します!
iDeCoの積立額を増額する
2017年から専業主婦(=国民年金第3号被保険者)も加入できるようになったiDeCoですが、その上限額は月額23,000円(年額27.6万円)となっています。自身で社会保険料を支払って第1号被保険者となった場合、この上限額が月額6.8万円(年額81.6万円)まで引き上げられます。iDeCoの掛金は全額「小規模企業年金等掛金」として所得税控除に利用できますので、活用しましょう。
ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せない他、掛けすぎると手元のお金が少なくなります。生活費や数年以内に必要となる教育資金のために資産運用している方は、無理のない範囲で活用するよう注意しましょう。
iDeCoを活用すると所得税・住民税を抑えることができますので、どの程度お得になるのか計算してみます。収入129万円(扶養内)と収入130万円(扶養から外れる)の二つの例で、それぞれiDeCoを上限額までかけた場合のシミュレーションは以下のとおりです。算出条件として、社会保険料控除は両者0円とします(前述の通り、本人支払よりも世帯主支払で控除するのがお得なためです)。
- 129万円の場合
所得税の課税所得=129万円ー48万円(基礎控除)ー27.6万円(iDeCoの控除)=53.4万円
住民税の課税所得=129万円ー43万円(基礎控除)ー27.6万円(iDeCoの控除)=58.4万円
よって、支払う税金は75,000~89,000円程度(所得税:27,000~27,500円、住民税:60,500~61,500円) - 130万円の場合:
所得税の課税所得=130万円ー48万円(基礎控除)ー81.6万円(iDeCoの控除)=4,000円
住民税の課税所得=130万円ー43万円(基礎控除)ー81.6万円(iDeCoの控除)=54,000円
よって、支払う税金は8,000~9,000円程度(所得税:0~500円、住民税:8,000~8,500円)
扶養を外れて第1号被保険者になった場合に、iDeCoを上限いっぱいまで活用すれば、将来的に受け取ることができる年金を増やしつつ、所得税・住民税を8万円程度減らすことができます。
収入129万円と130万円の場合の比較表
ここまで様々な節税策を調べてきましたが、「結局のところ、どのくらい違うの?」と思った方が多数だと思います。お待たせしました…まとめておきます。
前述の節税策をフルで利用した場合と、利用しなかった場合の税金・年金受給額について、扶養内外の別でまとめました。
※税率や受給額は年度・居住地などの条件により多少変動しますので、概算額としてご理解ください。
各種税金の払込・還付金額比較表(年額)
条件 | 収入129万円 iDeCo利用なし | 収入129万円 iDeCo満額利用 | 収入130万円 iDeCo利用なし・社保本人払い | 収入130万円 iDeCo満額利用・社保世帯主払 |
国民健康保険料 | 0円 | 0円 | 143,400円 | 143,400円 ※4 |
介護保険料※1 | 0円 | 0円 | 36,210円 | 36,210円 ※4 |
国民年金保険料 | 0円 | 0円 | 198,240円 | 203,040円 ※5 |
配偶者特別控除による 配偶者への還付※2 | 12,000円 (控除額6万円) | 12,000円 (控除額6万円) | 6,000円 (控除額3万円) | 6,000円 (控除額3万円) |
社会保険料控除による 配偶者への還付※2 | 0円 (控除額0円) | 0円 (控除額0円) | 0円 (控除額0円) | 65,000円 (控除額34万円) |
所得税※3 | 41,300円 | 27,500円 | 24,400円 | 500円 |
住民税※3 | 91,000円 | 61,500円 | 55,300円 | 8,500円 |
収支合計 | 120,300円 | 77,000円 | 415,340円(40歳未満) 455,155円(40歳以上) | 284,440円(40歳未満) 320,650円(40歳以上) |
※1:介護保険料は40歳以上から徴収されます。
※2:年収500~600万円の夫が各種控除を使った場合に還付される金額で、世帯主に還付されます。( )内は控除額。
※3:各種控除適用後の金額です。
※4:節税のため、実際には世帯主が支払う金額です。
※5:付加年金を支払った場合の金額のため、400円×12ヵ月=4,800円が上乗せされています。
年金の払込額と受給額比較表(年額)
条件 | ①収入129万円 iDeCo利用なし | ②収入129万円 iDeCo満額利用 | ③収入130万円 iDeCo利用なし | ④収入130万円 iDeCo満額利用・付加年金あり |
加入期間内訳 | ①条件で40年 | ②条件で40年 | ①条件で10年, ③条件で30年※1 | ②条件で10年, ④条件で30年※1 |
老齢基礎年金 | 79.5万円(0円) | 79.5万円(0円) | 79.5万円(594.7万円) | 79.5万円(594.7万円) |
付加年金 | 0円(0円) | 0円(0円) | 0円(0円) | 7.2万円(14.4万円) |
合計 | 79.5万円 | 79.5万円 | 79.5万円(594.7万円) | 86.7万円(609.1万円) |
iDeCo払込金額※2 | (0円) | (1,104万円) | (0円) | (2,724万円) |
一括受取※3 | 0円 | 1,591~2,455万円 | 0円 | 3,018~4,175万円 |
5年分割受取※3 | 0円 | 302~468万円 ×5年 | 0円 | 612~886万円 ×5年 |
10年分割受取※3 | 0円 | 152~235万円 ×10年 | 0円 | 302~446万円 ×10年 |
15年分割受取※3 | 0円 | 102~157万円 ×15年 | 0円 | 206~298万円 ×15年 |
20年分割受取※3 | 0円 | 78~119万円 ×20年 | 0円 | 155~224万円 ×20年 |
※1:30歳で130万円以上の収入を得て、それ以降は扶養を外れた場合を想定しています。
※2:20歳~60歳までに払い込んだ運用元本です。
※3:1~3%で運用した場合を想定しています。受取時の退職金控除・公的年金控除は考慮していません。
結論
私の場合は、目的や家庭環境に応じて使い分けるのがいいと判断しました。
- 子供を幼稚園または保育園に無償で預けることができる3歳頃までは、収入を130万円未満に抑えて扶養内を維持しつつ、iDeCoを上限(月額23,000円)まで掛けて、年金増と所得税・住民税を抑える。
- 子供を預けることができるようになってからは、扶養を外れることを検討する。その際には、iDeCoを上限(月額68,000円)まで掛けて、年金増と所得税・住民税を抑える。
さらに、手取り額が少なくならないように、パート・アルバイト等も含めた収入が165万円を超える程度に稼ぐことを意識する。 - 更に勤務時間を増やすことができれば(具体的には社保加入条件である週20時間以上、月8.8万円以上)、パート先で社保に加入し社会保険料の自己負担額を抑える(その際には、国民年金第2号被保険者となるため、iDeCoの上限額は月額23,000円に戻ることに注意)。
なんにせよ、ソシレン・クラファン投資を主力とする少額収入だけで、扶養から外れてしまうと社会保険料がかなり重荷になってしまいます。給与所得以外の所得には、控除制度がないのが現状ですので、個人事業主には厳しいですが受け入れるしかありません…。
とは言え、子育て中の我が家で、育児をメインになっている人間が外に働きに出るのは困難です。主な収入を夫に頼りつつ、家にいながら少額の収入が得られるのとうい事実を見れば、とても幸せなことです。現状に感謝し、人生のステージごとに働き方を見直していきたいと思います。
おまけ:ソシレン・クラファン投資初心者に役立つ税知識
普段スマホでご覧いただいている方は、【税金・確定申告】のタブから、ソシレン・不動産クラファン投資に役立つ税知識をまとめて見ることができるます。確定申告や扶養控除についての疑問があるときには是非一度ご覧ください。
以下の記事は特に人気で、確定申告の時期や年度替わりで扶養について確認しておきたい方はご一読ください。